調剤薬局の薬剤師は、なぜ不要だと思われているのか?

薬剤師不要論とは?薬剤師の存在意義と不要論の誤解を解く

実際に調剤薬局の薬剤師の存在意義にとは何なのか?「薬剤師不要論」について考えてみましょう。

薬剤師不要論の解説と、不要論の誤解を解くためのコラム

薬剤師って必要ないのかな…

薬剤師不要論」という言葉を耳にした事がありますか?
薬剤師の中でもこれは特に調剤薬局の薬剤師の事を指していて、世間の一部で言われている、「調剤薬局でお薬をもらう際に薬剤師は要らない。」という意見のことです。

もしかすると、調剤薬局で薬剤師として働く人の中にも、自らの存在意義に疑問を持っている人がいるかもしれません。

調剤薬局の薬剤師は、なぜ不要だと思われているのか?
また、実際に調剤薬局の薬剤師の存在意義にとは何なのか?「薬剤師不要論」について考えてみましょう。

なぜ「薬剤師は要らない」と思われてしまうのか

医薬分業が進むずっと以前のこと。
薬剤師は、患者から顔の見えない存在でした。

病院の受付を済ませ、医師の診察、看護師の処置や検査が済み会計が済むと、院内薬局の小さな投薬窓口を通して薬剤師からお薬を渡されます。
患者さんに対して開かれている受付や医師・看護師と違い、薬剤師の仕事は患者から隔離されていたのです。

今のように医師への疑義照会や患者の薬剤情報の管理が当然のこととは受け止められておらず、その頃の薬剤師の存在意義は、調剤技術にあったと思います。
しかし、現代になり医療機器が発達し調剤も機械化、特別な調剤技術はそれほど必要なくなってきました。

薬局の設備にもよりますが、錠剤分包機に全自動散薬分包機、軟膏の攪拌機など、様々な技術が機械化されています。
また、散薬や漢方薬もほとんど分包品が揃っているので計量分包の手間がかからなくなりました。

そのおかげで調剤作業は簡易化し、現在の薬剤師の調剤作業はピッキング(処方箋通りに薬の種類や数を確認して集めること)が中心になってきています。

もちろん、診療科目や薬局の性質によっては、調剤作業が複雑で時間がかかるというところもあるでしょう。
しかし、「確かに、これくらいのピッキング、薬剤師じゃなくてもできるんじゃ?」と思ったことのある人もいるのではないでしょうか?

それで、患者さんは思ってしまうのです。

薬の数を数えて集めるだけなのに、なんでこんなに時間がかかってるの?
それ、薬剤師じゃなくてもできるんじゃない?

また、今度は逆に患者の立場に立って、薬局を訪れた時の事を考えてみましょう。

いつもの薬をもらいに病院に行きました。
今日も病院ではたくさん待たされ、やっと自分の診察の番に。

「先生、最近、体調がよくなくて…。」相談した結果、薬を変えてみる事になりました。
先生からは簡単に薬の説明や副作用についても説明を聞き、処方箋をもらったら今度は薬局です。

「疲れた。早く帰りたい…。」そんな思いをこらえつつ、薬局でも更に待ちます。
そしてやっと自分の番になり、聞かれるのです。

男性薬剤師・患者との会話

薬剤師「今日はお薬が変わりましたね?」

女性患者【そうです。変えてもらいましたけど、何か?】
(早く帰りたいのに!)

薬剤師「体調が良くないですか?」

女性患者【そうよ!またイチから説明するの疲れる!】

薬剤師「今回のお薬の効果は…、気をつけていただきたい症状は…。」

女性患者【もう聞きましたよー。早く帰りたいー。】

そう。
患者さんが一番求めているのは、【早く薬をもらって帰りたい!】それが一番。
【病気や薬については主治医に相談したから、薬局では早く薬を出してもらえればそれでいい。】と、ストレートにそう言われた事も、一度や二度くらいあるのではないでしょうか?
【薬局での話は要らない。】それも、薬局で薬剤師が要らないと思われている原因の1つです。

薬剤師の存在意義とは?

では、本当に薬剤師という存在に意味はないのか?
看護師や調剤助手に調剤してもらい、レセプトは薬局事務が。

それでいいのか?

いいえ、よくありません!
薬剤師を代表して大きな声で言います。
「お薬を調剤・交付する際に、薬剤師は絶対に必要な存在です!」

薬剤師の仕事について、薬剤師法の第1条に次のように記されています。

「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」

要するに、患者の健康と安全を守るのが調剤薬局の薬剤師の仕事です。

しかし、健康と安全は目に見えないもの。
患者さんからはなかなか評価されにくいものですね。
何か事故が起こった時にわかるのかもしれません。
でも、その事故を未然に防ぐことが、薬剤師の仕事なのです。

具体的に、患者に対してどのように役に立つの?

処方箋を受け取ってから患者さんに薬をお渡しするまでの間、患者には見えないところで、薬剤師は様々なチェックを行っています。

まずは「処方チェック」です。
薬の飲み合わせは問題ないか?年齢や体重に対して薬の量は適正か?患者の現疾患に対して処方された薬は問題ないか?

そして「患者情報のチェック」。

他の病院での処方薬、市販薬やサプリメントとの飲み合わせはないか?
腎機能障害や肝機能障害、他の持病などがある場合、薬の量の加減は必要ないか?
禁忌薬ではないか?
薬のアレルギー歴がある場合、服用して問題ない薬か?

安全に服用してもらう為に様々なチェックを行っています。

また、医師から処方された薬を最大限の効果で服用できるように、チェックや提案もしています。
例えば食直前の服用が推奨される薬が食後指示で処方された場合などは医師に疑義照会をします。

また、例えば保育園に通うお子さんに昼の薬を飲ませられないというお母さん。
仕事が忙しくて夕食後の薬を忘れがちな会社員。
毎日晩酌をするのでアルコールとの飲み合わせが心配なお父さん。

医師へ処方変更を提案することもあれば、患者と相談してベストな服用方法を検討することもあります。
例えば、薬の自己管理が難しくなってきた高齢者。
薬を一包化したり、デイサービスや訪問看護に合わせて服用時間の変更を提案したりします。
居宅訪問で直接薬の管理をすることもあります。

薬が変わらない人でも、投薬時のお話の中から本人が気付いていない副作用がないかチェックしたり、重大な副作用についてはすぐ気付くように初期症状を説明したりしています。

他にも、患者の健康と安全を守る為に、様々な働きかけをしているのです。

「薬剤師絶対必要論」

「薬剤師不要論」、現場で働く薬剤師にとっては、なかなかショッキングなものですね。
しかし、それは世間の一部のこと。実際に、薬局での薬剤師の働きに感謝を示してもらう事の方が多いのではないでしょうか。
とは言え、やはり一部の人から「不要」と思われているのは問題です。

薬剤師は今後、どうしていけばいいのか?
それはやはり、自らの専門性に自覚と責任感を持って仕事に当たることだと思います。

アメリカでの薬剤師の働き(レフィル処方箋など)まではいきませんが、ここ数年間で薬剤師の活躍の場は確実に増えています。

逆に言えば、薬剤師の専門性が認められてきているということ。
医師との関係性を見ても、少しずつ発言力が増しているように思われます。
それは、先輩薬剤師が地道に努力してきた成果です。

患者のために、より良い医療のために、自己研鑽を積み誠心誠意行動すれば、その働きは自ずと世間に認められるでしょう。
「薬剤師絶対必要論」の為に、頑張れ、薬剤師!

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